忘年会の挨拶 例文14本|開会・乾杯・中締め・締め
結論:幹事がまず決めるのは「文面」ではなく「誰に頼むか」
忘年会の挨拶で幹事が最初に迷うのは、たいてい文面ではありません。誰に何を頼むかです。ここを外すと、どれだけ良い例文を用意しても当日の空気が硬くなります。
決める順番は次のとおりです。
- 割り当てを決める — 開会・乾杯・中締め・締めを誰に振るか(割り当て表)
- 依頼する — 遅くとも1週間前。場面・持ち時間・順番を添えて頼む
- 文面を渡すか、自分の分を用意する — 自分が話す分は例文をベースに固有名詞だけ差し替える
挨拶そのものは、次の4点を押さえれば十分に成立します。
- 長さは1分以内(乾杯の発声はさらに短く30秒程度)。料理と飲み物が冷めないうちに終える
- 感謝を主役にする。1年間の労いと、参加してくれたことへのお礼を必ず入れる
- 場面ごとに役割が違う。開会=場を開く、乾杯=始める合図、中締め=区切り、締め=終わりの宣言
- 合図をはっきり出す。「それでは、乾杯」「一本締めで」など、次の動作が分かる言葉で終える
挨拶の順番と呼び分け(開宴・はじめ・開会)
進行表を作るときに混乱しやすいのが呼び名です。会社や店によって使い分けが違い、同じ言葉が別の場面を指すことがあります。呼び名を揃えてから割り当てると、依頼と当日の齟齬が消えます。
| 呼び名 | 指すもの | 誰がやることが多いか | 長さの目安 |
|---|---|---|---|
| 開宴の辞・開会宣言 | 「ただいまより忘年会を開会します」の一言だけ | 司会 | 10秒 |
| はじめの挨拶・開会の挨拶 | 労いと進行案内を含む挨拶 | 幹事、または上位者 | 30秒〜1分 |
| 乾杯の発声・乾杯の音頭 | グラスを上げる合図 | 上位者(部長・先輩など) | 20〜30秒 |
| 中締め | 一区切り。帰る人を送り出す | 中堅・幹事 | 30秒〜1分 |
| 締めの挨拶・閉会の挨拶 | 終わりの宣言と労い | 最上位者・幹事 | 1分以内 |
小規模(20名以下)なら、開会宣言とはじめの挨拶は分けずに1つにまとめて構いません。分けるのは、来賓がいる場合や50名を超えて司会進行が必要な場合です。
開会と乾杯を同じ人が続けてやると冗長になります。 開会は幹事、乾杯は別の方に振り分けると流れが軽くなります。
誰に何を頼むか(役職別の割り当て表)
挨拶は「偉い順に並べる」ものではありません。場面ごとに求められる役割が違うためです。実務上、角が立ちにくい型は次のとおりです。
| 場面 | 頼む相手の型 | 理由 |
|---|---|---|
| 開会の挨拶 | その場の最上位者(部長・社長) | 会を開く権限がある人が開くと収まりがよい |
| 乾杯の発声 | 次席、または当日の主役に近い人 | 最上位者が続けて話すと長くなる。ここは短く明るく |
| 中締め | 中堅・幹事 | 帰る人を送り出す実務的な役。役職は不要 |
| 締めの挨拶 | 最上位者、または幹事 | 開会を上位者がやったなら、締めは幹事でよい |
押さえておきたい点が3つあります。
- 最上位者に2回頼まない。 開会と締めの両方を同じ人に振ると、話す時間が倍になり冗長になります。開会を頼んだら締めは幹事が引き取ります。
- 若手に乾杯を振るのは有効。 場が明るくなり、本人の顔も覚えてもらえます。ただし「30秒で、一年の労いと来年もよろしくの2つだけで大丈夫です」と範囲を狭めて渡すのが条件です。
- 役職者が複数いて順序に迷うときは、席次に合わせます。 席次と挨拶順が食い違うと、その場で気づかれます。
そのまま使える例文14本(場面別・トーン別)
固有名詞と出来事だけ差し替えれば使えます。読み上げても40秒前後に収まる長さにしてあります。
開会の挨拶(4本)
基本(幹事・司会)
本日はお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。幹事の○○です。 今年も一年、本当にお疲れさまでした。日ごろの慌ただしさを少し忘れて、ゆっくり召し上がっていただければと思います。 本日は21時までを予定しております。それでは、○○さんに乾杯の音頭をお願いいたします。
やや堅い(上位者・来賓がいる場合)
ただいまご紹介にあずかりました、○○部長の○○でございます。 本年は○○(事業の節目を一つ)と、変化の大きい一年でございました。皆さまお一人おひとりのご尽力があって、こうして年末を迎えることができました。改めて御礼申し上げます。 本日は日ごろの労をねぎらう席です。どうぞお寛ぎください。
くだけた(少人数・気心の知れた面々)
みなさん、一年おつかれさまでした! 幹事の○○です。 今日は仕事の話は一旦置いて、しっかり食べて飲んでください。料理は○時までに追加オーダーをお願いします。 それでは、さっそく始めましょう。
短縮版(開会宣言と兼ねる・20名以下)
ただいまより、○○部の忘年会を始めます。幹事の○○です。本日は21時まで、○時に一度中締めを入れます。 それでは○○さん、乾杯をお願いします。
乾杯の発声(4本)
基本
ご紹介にあずかりました○○です。皆さん、一年間おつかれさまでした。 今年は○○(大きな出来事を一つだけ)と、変化の多い一年でしたが、こうして無事に集まれたことを嬉しく思います。 来年もどうぞよろしくお願いします。それでは、皆さんの健康とご活躍を願って——乾杯!
やや堅い
○○部の○○でございます。僭越ながら、乾杯の音頭を取らせていただきます。 本年の皆さまのご尽力に、心より感謝申し上げます。来年が一層良い年となりますよう。 それでは、皆さまのご健勝を祈念いたしまして——乾杯。
くだけた
○○です。細かい話は抜きにします。今年もおつかれさまでした! 来年もこのメンバーでやれたら嬉しいです。それでは——乾杯!
若手・新人が任された場合
○○です。若輩者ですが、乾杯の音頭を務めさせていただきます。 今年は分からないことばかりで、皆さんに助けていただいてばかりでした。ありがとうございました。来年も学ばせていただきます。 それでは、皆さんの一年の労をねぎらいまして——乾杯!
中締め(3本)
基本(一本締め)
宴もたけなわではございますが、そろそろお時間となりました。幹事の○○です。 ここで一度、中締めとさせていただきます。この後もお時間のある方はぜひ続けてお楽しみください。 それでは、一本締めでお願いいたします。お手を拝借——いよぉーっ、(パン)。ありがとうございました。
やや堅い(三本締め)
皆さま、宴もたけなわではございますが、ここで中締めとさせていただきます。 本日はお集まりいただき、誠にありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。 それでは三本締めで締めさせていただきます。お手を拝借——
手締めをしない場合
そろそろお時間ですので、ここで一度区切らせていただきます。幹事の○○です。 お帰りの方はどうぞこのタイミングで。二次会は○時から隣の○○で行います。 本日はありがとうございました。引き続きごゆっくりどうぞ。
締めの挨拶(3本)
基本
本日はご参加いただき、ありがとうございました。 今年一年、皆さんそれぞれの持ち場で本当によく頑張られたと思います。心よりお礼申し上げます。 年末年始はゆっくり休んでいただき、来年も元気にお会いしましょう。お忘れ物のないよう、お気をつけてお帰りください。
やや堅い(最上位者)
皆さま、本日は誠にありがとうございました。 本年は決して平坦な一年ではございませんでしたが、皆さまお一人おひとりの踏ん張りによって、こうして無事に締めくくることができました。改めて御礼申し上げます。 どうぞ良いお年をお迎えください。本日はこれにてお開きといたします。
くだけた(幹事が締める)
今日はありがとうございました! 楽しんでいただけたでしょうか。 来年もまた、こうして集まれたらと思います。忘れ物だけ気をつけて、気をつけて帰ってください。 それでは、良いお年を!
立場別:言い回しの調整
- 幹事・司会:自分の思いより「進行案内」を優先します。終了時刻・二次会の有無・忘れ物の注意など、参加者が知りたい情報を必ず入れます
- 上司・年長者:具体的な労いを一つ入れると効きます(「○○の立ち上げは大変でしたね」など)。ただし特定の個人・部署を褒めすぎると角が立つため、全体への感謝で締めます
- 若手・新人:気負わなくて構いません。「至らないところをフォローいただきありがとうございました」+「来年も学ばせてください」で十分です
避けたいのは、業績の反省会・説教・内輪すぎる話・長い自分語りです。楽しみに来ている場なので、ネガティブな話題は持ち込まないのが鉄則です。
面白い挨拶は必要か
結論から言うと、狙わなくて構いません。忘年会の挨拶で笑いを取りにいって滑ると、その後の場が重くなります。回収できるのは、普段からその役回りをしている人だけです。
それでも場を和ませたいときは、笑いではなく具体性で温度を上げるほうが安全です。
- ×「今年は激動の一年でした」→ 抽象的で誰の心にも残らない
- ○「今年は○○の納品が3回延期になりましたね。あのときの徹夜は忘れません」→ その場の全員が思い出せる
共通の記憶を一つ挟むだけで、笑いを狙わずに空気は緩みます。
挨拶を依頼するときの文面テンプレ
挨拶は当日いきなり振らず、事前に依頼します。伝えるべきは次の4点です。
- どの場面か(開会/乾杯/中締め/締め)
- 持ち時間(「1分程度で」と具体的に)
- 順番と、直前に誰が話すか
- マイクの有無と立ち位置
上位者に乾杯を依頼する(チャット・メール)
○○部長 12月○日の忘年会の件でご連絡です。当日、乾杯の音頭をお願いできませんでしょうか。 19時開始で、開会の挨拶(私)のあと、19時5分ごろに30秒程度いただければと思います。マイクをお持ちします。 ご都合が悪ければ遠慮なくお知らせください。
最上位者に開会の挨拶を依頼する
○○部長 12月○日の忘年会につきまして、開会のご挨拶をお願いできればと存じます。 19時開会で、冒頭に1分程度いただけますと幸いです。内容はお任せいたしますが、一年の労いをいただければ十分かと思います。締めは私のほうで承ります。 ご都合いかがでしょうか。
若手に乾杯を依頼する(範囲を狭めて渡す)
○○さん 忘年会で乾杯の音頭をお願いできませんか。難しく考えなくて大丈夫です。 「一年おつかれさまでした」+「来年もよろしくお願いします」+「乾杯」の3つだけで十分で、30秒くらいのイメージです。 順番は開会の挨拶(部長)のすぐあとです。当日、直前に声をかけます。
断られたとき/代役を頼む
○○さん 急なお願いで恐縮です。当初○○さんにお願いしていた中締めですが、ご都合がつかなくなりました。 代わりにお願いできませんでしょうか。30秒程度、一本締めの号令までで大丈夫です。文面はこちらでご用意します。
依頼は遅くとも1週間前までに。当日の指名は準備の時間が取れず、相手に負担をかけます。参加人数や当日の進行連絡をまとめて管理したいときは、Attoのような無料の出欠管理サービスを使うと、案内と出欠の集計を1か所にまとめられます。
幹事全体の段取りは忘年会の幹事マニュアルに、当日の進行の組み立ては歓迎会の進行と司会進行表も参考になります。挨拶を誰に頼むかは参加者が固まってからの判断になるので、先に忘年会の日程調整で日程と会場を確定させ、忘年会の案内文 例文で出欠を集めておくと動きやすくなります。
時間配分と進行への入れ方
挨拶は「短く」と言われますが、実際には進行表の何分目に置くかまで決めないと当日ずれます。2時間(19:00〜21:00)の標準的な配分です。
| 時刻 | 内容 | 持ち時間 |
|---|---|---|
| 19:00 | 開会宣言・開会の挨拶 | 1分 |
| 19:02 | 乾杯の発声 | 30秒 |
| 19:05 | 歓談・食事 | 45分 |
| 19:50 | 余興・ゲーム | 20分 |
| 20:15 | 歓談 | 25分 |
| 20:40 | 中締め(一本締め) | 1分 |
| 20:45 | 歓談・退席開始 | 10分 |
| 20:55 | 締めの挨拶・二次会案内 | 1分 |
| 21:00 | 解散 | — |
挨拶の合計は4分もありません。 逆に言えば、1人が3分話すと配分が崩れます。依頼時に持ち時間を数字で伝えるのは、この崩れを防ぐためです。
運用上のコツが2つあります。
- 挨拶する人には開始10分前に一声かける。「このあと乾杯をお願いします」と伝えるだけで、心の準備ができます
- 中締めと締めの間は10分以上空ける。 中締め直後に締めが来ると、帰るタイミングを逃した人が取り残されます
余興・ゲームを挟む場合は、中締めとの間が空きすぎないように置きます。何をやるかは忘年会の出し物アイデア12選から、準備の重さと人数で選んでください。
忘れずに用意したいもの
- 挨拶をお願いした人の名前と順番のメモ(司会用)
- マイクが必要かの確認(店に事前連絡)
- 終了時刻と二次会情報
- 一本締め・三本締めのどちらにするかの確認
NG例と言い換え
| よくあるNG | なぜ避けるか | 言い換え |
|---|---|---|
| 「今年は目標未達で反省すべき年でした」 | 労いの場が反省会になる | 「厳しい場面もありましたが、皆さんのおかげで乗り切れました」 |
| 「来年こそは全員で数字を…」 | 目標の押し付けになる | 「来年もこのメンバーで進めていければ嬉しいです」 |
| 「○○さんは今年よく頑張った(特定個人を長く)」 | 他の人が置いていかれる | 「それぞれの持ち場でよく踏ん張っていただきました」 |
| 「まだ飲んでない人いますか?」 | 飲酒の強要になる | 「お飲み物、お好きなものをどうぞ」 |
| 「独身の方は来年こそご報告を」 | 私生活への言及はハラスメントになりうる | (触れない。全体への労いに留める) |
| 長い自己紹介・自分語り | 場の温度が下がる | 感謝+合図の2要素に絞る |
特に注意したいのは飲酒を促す言い回しです。乾杯の発声でも「グラスをお持ちください」にとどめ、中身は問いません。
一本締め・三本締めの号令
号令は言い方が決まっています。迷ったら次のとおり読み上げてください。
一本締め
お手を拝借。いよぉーっ——(パン)。ありがとうございました。
三本締め
お手を拝借。いよぉーっ——(パパパン パパパン パパパン パン) もう一丁——(パパパン パパパン パパパン パン) いよぉーっ——(パパパン パパパン パパパン パン)。ありがとうございました。
関東一本締め(「いよぉーっ、パン」で1回だけ)と三本締めは別物です。会社の忘年会では簡潔な一本締めが選ばれることが多く、格式を出したい場や来賓がいる場では三本締めが使われます。どちらにするかは事前に決めて、号令をかける人に伝えておきます。その場で「一本締めで」と言われて三本締めを始めてしまう事故が起きやすい箇所です。
二次会・オンラインの場合
二次会の案内は、締めの挨拶とは分けて司会から短く伝えます。
二次会は21時15分から、隣の○○で行います。参加自由ですので、ご都合のつく方はぜひ。会費は3,000円程度の予定です。
オンライン忘年会では、間が生まれやすいため合図をより明確にします。
それでは乾杯します。皆さん、お手元のグラスを画面に向けてお持ちください。……乾杯!
画面越しは声が重なると聞き取れないため、乾杯後は一度ミュートをお願いしますと添えると進行が乱れません。
よくある質問(FAQ)
Q. 忘年会の挨拶はどれくらいの長さが適切ですか? A. 開会・中締め・締めは1分以内、乾杯の発声は30秒程度が目安です。料理が出ている場面では特に短く。長い挨拶は場の温度を下げるので、短く切り上げるほうが好印象です。
Q. 誰に挨拶を頼めばよいですか? A. 開会はその場の最上位者、乾杯は次席か若手、中締めは中堅・幹事、締めは最上位者か幹事が基本形です。最上位者に開会と締めの両方を頼まないのがコツで、開会を頼んだら締めは幹事が引き取ります。詳しくは本文の割り当て表をご覧ください。
Q. 一本締めと三本締めはどう違いますか? A. 一本締めは「いよぉーっ、パン」と1回、三本締めは「パパパン パパパン パパパン パン」を3回繰り返します。会社の忘年会では簡潔な一本締めが選ばれることが多く、格式を出したい場では三本締めが使われます。手締めをしない場合は「これにてお開きとします」で締めて構いません。
Q. 乾杯の挨拶を突然頼まれたらどうすればよいですか? A. 「一年の労い」+「来年もよろしく」+「乾杯」の3要素だけで成立します。無理にエピソードを盛り込まず、「皆さん、一年間おつかれさまでした。来年もよろしくお願いします。乾杯!」で十分です。
Q. 面白い挨拶をしたほうがよいですか? A. 狙わなくて構いません。滑ったときの損失のほうが大きいためです。場を和ませたいなら、笑いではなく全員が思い出せる具体的な出来事を一つ挟むと、安全に空気が緩みます。
Q. 締めの挨拶で言ってはいけないことはありますか? A. 業績の反省、特定の人への苦言、私生活(結婚・出産など)への言及、政治や宗教の話題、来年の目標の押し付けは避けます。締めは労いと感謝で終えるのが基本です。帰り道の注意喚起(お忘れ物・お気をつけて)を添えると丁寧です。