忘年会の会費の決め方|相場と会社負担の線引き
結論:会費は「相場」ではなく「固定費 ÷ 請求人数」で決める
忘年会の会費でつまずく幹事は、たいてい相場を先に調べています。順番が逆です。相場は最後に「妥当かどうか」を確かめるために使うもので、金額そのものは自分の会の条件から出します。
- かかる費用を、人数で動くものと動かないものに分ける(会場費・景品は動かない、飲食代は動く)
- 「請求人数」を置く。参加予定者数ではなく、店に支払う人数のこと。12月は当日欠席が出るので、この2つはずれる
- 固定費 ÷ 請求人数 + 一人あたりの変動費で計算し、キリのよい金額に整える
- 余ったとき・足りないときの扱いを、集める前に決めて案内に書く
この順で決めると、「なぜこの金額なのか」を聞かれたときに説明できます。忘年会の会費でもめる原因は金額の高さそのものより、根拠が説明できないことと欠席時の扱いを決めていなかったことの2つです。
会費の相場の目安と、その内訳
会社の忘年会の会費は、飲み放題付きのコース料理を使う場合で一人あたり5,000円前後が目安としてよく挙げられます。ただしこれは全国のさまざまな条件を混ぜた数字なので、そのまま自分の会に当てはめないでください。都市部のホテル宴会場と地方の居酒屋では前提が違います。
相場を見るときは、金額よりも何が含まれているかを見ます。会費の中身は次の4つに分かれます。
| 費目 | 内容 | 人数で動くか |
|---|---|---|
| 飲食代 | コース料理・飲み放題 | 動く(一人あたり固定) |
| 会場費 | 個室料・貸切料・室料 | 動かない(固定) |
| 景品・備品 | ビンゴ景品、装飾、紙コップ類 | 動かない(固定) |
| 予備費 | 追加注文・タクシー代・想定外 | 動かない(固定として置く) |
この仕分けが会費計算の中心です。 飲食代だけは一人増えれば一人分増えますが、貸切料や景品は人数が減っても返ってきません。参加人数が読めない段階で「総額 ÷ 参加予定者数」で割ると、欠席が出た瞬間に足が出ます。
会費の決め方4ステップ
ステップ1:かかる費用を全部書き出す
見落としやすいのは、飲食以外です。次のチェックリストで漏れを潰してください。
- コース料金(税・サービス料込みか要確認)
- 飲み放題の追加料金
- 個室料・貸切料・室料
- ビンゴなどの景品代
- 装飾・備品(あれば)
- 二次会の店の予約金(一次会の会費に混ぜない)
- 予備費
サービス料と税は特に注意してください。「コース5,000円」と書かれていても、サービス料10%と消費税を足すと一人あたり6,000円近くになることがあります。店に確認するときは「税・サービス料込みの総額はいくらになりますか」と聞くのが確実です。
ステップ2:請求人数を置く
請求人数=店に支払うことになる人数です。多くの店は数日前の時点で人数を確定させ、それ以降に減っても料金は発生します。この「人数確定日」を予約時に必ず聞いてください。
請求人数の置き方は次のとおりです。
- 出欠の締切を、店の人数確定日の2〜3日前に設定する
- 締切時点の参加者数を、そのまま請求人数にする
- 締切後に増える分は店に相談、減る分は請求人数のまま(=会費は返さない)
出欠の締切を店の確定日より前に置くのが肝です。同じ日にすると、締切当日に返事が来ない人の対応をしている間に店への回答期限が来ます。締切の設計は忘年会の日程調整と合わせて考えると、会場の仮押さえから逆算できます。
ステップ3:固定費を請求人数で割り、変動費を足す
計算はこの形になります。
一人あたりの会費 = 一人あたりの飲食代 + (会場費 + 景品代 + 予備費) ÷ 請求人数
人数が少ないほど、固定費の一人あたり負担は重くなります。20人の会と50人の会で会費が違うのは、多くの場合ここが理由です。
ステップ4:キリのよい金額に整える
計算結果が5,380円になったら、5,500円に切り上げます。切り下げないでください。端数を切り下げると、その分は幹事の持ち出しになります。
切り上げた差額は予備費に回し、余ったときの扱い(後述)を先に決めておきます。集金を千円単位にすると当日のおつりの用意が要らなくなるので、現金で集める場合は特に効きます。
会社負担か自己負担か:福利厚生費として扱える条件
「会社に出してもらえないのか」は、幹事が必ず一度は考えることです。ここは税務の話になるので、要件を正しく押さえてください。
国税庁は、交際費等と福利厚生費の区分について、従業員におおむね一律に供与される通常の飲食に要する費用を福利厚生費として扱う旨を示しています(国税庁タックスアンサー「交際費等と福利厚生費との区分」)。ここから実務上よく問題になるのは次の3点です。
| ケース | 論点 |
|---|---|
| 全社員が対象の忘年会 | 「おおむね一律」を満たしやすい |
| 特定の部署だけの忘年会 | 全従業員が対象と言えるか。会社の規程によって扱いが変わる |
| 役員だけの会 | 福利厚生費として扱えない |
| 一次会のあとの二次会 | 一次会と一体か別か。金額が通常の範囲を超えていないか |
この判断は最終的に会社の経理・顧問税理士のものです。 幹事が独断で「経費で落ちます」と社内に言わないでください。確認するときは、開催の目的・対象者の範囲・一人あたりの金額・開催場所を整理して持っていくと話が早く済みます。
会社負担・自己負担・折半のいずれになるかで会費が変わるので、この確認は会場を押さえる前に済ませるのが理想です。後から「半額会社が出す」と決まると、集金をやり直すことになります。
役職や立場で金額を変えるか
上司や役員から多めにもらう「傾斜」をつけるかどうかは、会社の慣習によります。判断の目安は次のとおりです。
- 前回も傾斜をつけていた → 踏襲する。急にやめると理由を聞かれます
- 前例がない → 一律にする。幹事の一存で始めると角が立ちます
- つける場合 → 「役職者は+1,000円」のように単純な形にし、案内に明記する
迷ったら一律です。傾斜は集金の手間を増やし、金額を間違える原因にもなります。金額差でしか成立しない会にはしないほうが、幹事の負担は確実に軽くなります。
なお、新入社員や時短勤務者の会費を下げる配慮をする会社もあります。これも先に決めて案内に書くのが原則で、当日その場で調整すると不公平感が残ります。
当日欠席・ドタキャンの会費をどうするか
もめる原因のほとんどはここです。そして防ぎ方は決まっています。集める前に、案内の1通目でルールを宣言しておくことです。
12月の忘年会は、体調不良と急な仕事で当日欠席が出ます。何も書いていないと、欠席した人は「行っていないのに払うのか」と思い、幹事は「もう店に払っている」と思い、両者の言い分がぶつかります。先に書いてあれば、これは起きません。
そのまま使える文面です。
【会費について】 会費は一人5,500円です。当日、受付でお預かりします。 お店への人数確定が12月○日のため、○日以降のキャンセルは会費を頂戴します。 体調不良などやむを得ない場合も、料理の代金が発生してしまうためご了承ください。 欠席のご連絡は、前日までは○○(幹事)まで、当日は△△までお願いします。
書き方のポイントは3つです。
- 日付を明記する(「直前」ではなく「12月○日以降」)
- 理由を書く(幹事の都合ではなく、店への支払いが発生するからだと分かる)
- 連絡先を書く(連絡しにくくて無断欠席になるのを防ぐ)
事前徴収にしておけば、この問題はさらに小さくなります。案内文そのものの型は忘年会の案内文 例文にまとめています。
集金方法の比較
| 方法 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|
| 事前徴収(振込・送金アプリ) | 当日の欠席で取りっぱぐれない。当日の受付が速い | 集金の催促が要る。振込手数料の扱いを決める必要がある |
| 当日徴収(受付で現金) | 手間が少なく、参加者も分かりやすい | 当日欠席分を回収できない。おつりの準備と受付の行列 |
| 給与天引き | 未回収がゼロになる | 会社の制度が要る。手続きに時間がかかる |
人数が多い会ほど事前徴収が有利です。当日徴収は、受付に人が並んで開始が遅れる原因にもなります。当日徴収にする場合は、釣り銭が出ない金額に会費を設定してください。
参加人数が動くと集金額も動くので、出欠の回答と集金の状況を1か所で見られるようにしておくと管理が楽になります。無料のAttoのようなツールを使うと、申込フォームから出欠を集めて未回答者にリマインドを送るところまでまとめられます。
赤字を出さないための予備費
予備費は会費に最初から含めておくもので、足りなくなってから足すものではありません。目安は会費の5〜10%程度です。
予備費が要る場面は決まっています。
- 飲み放題の時間を延長した
- 想定より多く追加注文が出た
- 景品を買い足した
- 遅れて来た人の分の料理を追加した
そして余ったときの扱いを先に決めます。よくある決め方は次の3つです。
- 二次会の費用に充てる(一次会の案内に書いておく)
- 次回の会に繰り越す(誰が預かるかを明確にする)
- その場で参加者に返す(少額だと逆に手間になる)
どれでも構いませんが、決めずに幹事が預かったままにするのが一番よくありません。少額でも「あのお金どうなった」が後から出ます。会全体の段取りは忘年会の幹事がやることリストにまとめてあるので、会費以外の準備と合わせて確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 忘年会の会費の相場はいくらですか? 飲み放題付きのコース料理を使う会社の忘年会では、一人あたり5,000円前後が目安としてよく挙げられます。ただし会場のタイプや地域で前提が変わるので、相場は「自分で計算した金額が妥当かを確かめる物差し」として使ってください。金額そのものは、固定費を請求人数で割って出します。
Q. 上司や役員の会費は高くすべきですか? 会社の慣習に従うのが安全です。前回も傾斜をつけていたなら踏襲し、前例がなければ一律にしてください。つける場合は「役職者は+1,000円」のような単純な形にして、案内に明記します。幹事の一存で新しく傾斜を始めると、角が立ちやすくなります。
Q. 当日欠席した人から会費はもらえますか? お店の人数確定日を過ぎていれば、料理代は発生しています。もらう・もらわないのどちらを選ぶにしても、案内の1通目に書いておくことが前提です。何も書かずに当日になってから請求すると、必ずもめます。事前徴収にしておくと、この問題自体が起きにくくなります。
Q. 余った会費はどうすればいいですか? 二次会に充てる、次回に繰り越す、その場で返す、のいずれかです。大事なのは金額の大小ではなく、集める前に決めて案内に書いてあることです。決めないまま幹事が預かると、後から必ず話題になります。
Q. 忘年会の費用は会社の経費で落とせますか? 全従業員におおむね一律に提供される通常の範囲の飲食であれば、福利厚生費として扱われる余地があります(国税庁の交際費等と福利厚生費の区分による)。ただし部署単位の開催や役員のみの会、金額が通常の範囲を超える場合は扱いが変わります。判断は会社の経理・顧問税理士が行うものなので、幹事は開催目的・対象者・一人あたりの金額・開催場所を整理して確認を依頼してください。