懇親会の挨拶 例文12本|開会・乾杯・中締め・閉会
結論:懇親会の挨拶は「社外がいるか」で言い回しが変わる
懇親会の挨拶は、忘年会や歓迎会と同じ型では組めません。社外の方が同席することが多いからです。
身内だけの会なら「今年もおつかれさまでした」で成立します。しかし取引先や来賓がいる席で同じことを言うと、社外の方が置いていかれます。挨拶の目的が「労い」ではなく「その場にいる全員を紹介し、交流を始める合図を出すこと」に変わるためです。
幹事が決めるのは、順番に次の3つです。
- 社外の方がいるか — いるなら言い回しと割り当てが変わる(言い換え表)
- 誰に何を頼むか — 開会・乾杯・中締め・閉会の割り当て
- 文面 — 例文の固有名詞を差し替える
挨拶の場面と担当
| 場面 | 役割 | 誰がやることが多いか | 長さの目安 |
|---|---|---|---|
| 開会の挨拶 | 会の趣旨を述べ、場を開く | 主催側の最上位者 | 1分 |
| 乾杯の発声 | 始める合図 | 来賓、または主催側の次席 | 30秒 |
| 中締め | 一区切り。帰る人を送り出す | 幹事・中堅 | 30秒〜1分 |
| 閉会の挨拶 | 感謝と今後の展望で終える | 幹事、または主催側上位者 | 1分 |
中締めと閉会は別物です。 中締めは「ここで一度区切るので、帰る方はどうぞ」の合図で、会自体はまだ続きます。閉会は終了宣言です。参加者の帰りやすさを作るのが中締めの役割なので、終了の15〜20分前に置きます。
誰に何を頼むか(割り当て表)
上位の記事はどれも「挨拶を任された人」向けに書かれています。しかし幹事が本当に困るのは、自分が話す文面より誰に振るかです。社外の方がいる場合の型は次のとおりです。
| 場面 | 社内のみの懇親会 | 社外・来賓がいる懇親会 |
|---|---|---|
| 開会 | 主催部署の最上位者 | 主催側の最上位者(趣旨説明の責任者として) |
| 乾杯 | 次席、または若手 | 来賓の代表格(立ててお願いする) |
| 中締め | 幹事 | 幹事(変わらず) |
| 閉会 | 幹事 | 主催側の次席(来賓への御礼を述べる役) |
押さえておきたい点が3つあります。
- 乾杯を来賓に頼むなら、必ず事前に許可を取ります。 当日その場で指名するのは失礼にあたります。断られたときのために、主催側の次席を代役として用意しておきます。
- 開会と閉会を同じ人が務めない。 主催側の同じ人が2回話すと、社外の方には「その人の会」に見えます。
- 来賓が複数いるときは、乾杯を頼む方の序列に注意します。 迷ったら、最も取引の長い会社の最上位者に。判断がつかないときは、乾杯を主催側が務めて、来賓には挨拶を頼まないほうが安全です。
挨拶の組み立て(4要素)
どの場面でも、構成は同じ4要素で組めます。
- 名乗り — 社名・部署・氏名。社外の方がいる場では省略しない
- 感謝 — 集まっていただいたことへの御礼
- 会の趣旨 — なぜこの会を開いたか。ここが懇親会の挨拶で最も抜けやすい
- 締めと合図 — 「それでは乾杯」「ごゆっくりお過ごしください」
3の趣旨説明が入るかどうかが、懇親会の挨拶の出来を分けます。「日ごろの感謝をお伝えする場です」「部署をまたいで話す機会にしたく開きました」の一文があると、参加者が何をすればよいか分かります。
そのまま使える例文12本(場面別・トーン別)
固有名詞を差し替えれば使えます。読み上げて40秒前後の長さです。
開会の挨拶(3本)
一般的な懇親会
本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。○○部の○○です。 この会は、普段なかなか話す機会のない方同士でゆっくりお話しいただきたく、企画いたしました。 21時までを予定しております。お料理とお飲み物をご用意しておりますので、どうぞお気軽にお過ごしください。
社外・来賓が同席する場
本日はご多用のところ、また遠方よりお運びいただき、誠にありがとうございます。株式会社○○、○○部長の○○でございます。 本日は、日ごろお世話になっております皆さまへの感謝をお伝えするとともに、部門を越えて忌憚なくお話しいただける場をと存じ、この席を設けました。 短い時間ではございますが、どうぞお寛ぎください。
カジュアル(社内・少人数)
みなさん、お集まりいただきありがとうございます。幹事の○○です。 今日は堅い話は無しで、普段しゃべらない人と話してもらえたら嬉しいです。 21時までです。それでは始めましょう。
乾杯の発声(3本)
一般的な懇親会
ご紹介いただきました○○です。皆さん、本日はお集まりいただきありがとうございます。 こうして顔を合わせる機会は貴重だと思います。ぜひ今日は、まだ話したことのない方にも声をかけてみてください。 それでは、皆さまのご健勝を願って——乾杯!
来賓が務める場合(主催側が読み上げる紹介文つき)
(司会)続きまして、株式会社○○の○○様より乾杯のご発声を賜ります。○○様、よろしくお願いいたします。
(来賓)ただいまご紹介にあずかりました、○○の○○でございます。本日はお招きいただき、ありがとうございます。 日ごろより格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。本日はよい機会をいただきました。 それでは、両社のますますのご発展を祈念いたしまして——乾杯。
カジュアル
○○です。長い話はしません。今日は楽しんでいきましょう。 それでは——乾杯!
中締め(3本)
一般的な懇親会(一本締め)
宴もたけなわではございますが、そろそろお時間となりました。幹事の○○です。 ここで一度、中締めとさせていただきます。この後もお時間の許す方は、ぜひ続けてお楽しみください。 それでは一本締めでお願いいたします。お手を拝借——いよぉーっ、(パン)。ありがとうございました。
社外・来賓が同席する場
皆さま、宴もたけなわではございますが、ここで中締めとさせていただきます。幹事の○○でございます。 本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。お帰りのお時間の方は、どうぞこのタイミングでご退席ください。 それでは、三本締めにて締めさせていただきます。お手を拝借——
手締めをしない場合
そろそろお時間ですので、ここで一度区切らせていただきます。 お帰りの方はどうぞこのタイミングで。お車でお越しの方はお気をつけて。 引き続きお残りいただける方は、あと30分ほどごゆっくりどうぞ。
閉会の挨拶(3本)
一般的な懇親会
本日はご参加いただき、ありがとうございました。幹事の○○です。 短い時間でしたが、普段話せない方とお話しいただけたなら幸いです。 お忘れ物のないよう、お気をつけてお帰りください。本日はありがとうございました。
社外・来賓が同席する場
皆さま、本日は最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。○○部の○○でございます。 ○○様をはじめ、ご来賓の皆さまには、ご多用のところご出席を賜り重ねて御礼申し上げます。本日いただきましたご意見は、今後の取り組みに活かしてまいります。 引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。お気をつけてお帰りください。
カジュアル
今日はありがとうございました! 楽しんでもらえたでしょうか。 またこういう機会を作りますので、そのときもぜひ。 忘れ物だけ気をつけて、気をつけて帰ってください。
社外の方が同席するときの言い換え
社内の感覚のまま話すと、社外の方には違和感が残ります。よく起きる取り違えです。
| 社内だけなら | 社外がいる場では | 理由 |
|---|---|---|
| 「うちの田中が」 | 「弊社の田中が」 | 「うち」は社外向けでは砕けすぎる |
| 「田中部長が説明します」 | 「部長の田中より説明いたします」 | 身内に敬称・役職の後付けはしない |
| 「○○社さん」 | 「株式会社○○様」 | 社名は正式名称で。略称は使わない |
| 「今期は厳しかったですが」 | (触れない) | 自社の業績・内情は社外の前で出さない |
| 「一年おつかれさまでした」 | 「日ごろのお引き立てに御礼申し上げます」 | 労いは身内向けの言葉 |
| 「乾杯の音頭、○○さんお願い」 | 「○○様より乾杯のご発声を賜ります」 | 来賓には「賜る」を使う |
判断に迷いやすいのが身内の呼び方です。社外の方の前では、自社の人間に「さん」「部長」の敬称を付けないのが原則とされます。ただし近年は社内文化として役職呼びを残す会社もあり、慣習は分かれます。厳格に統一する必要はありませんが、少なくとも同じ挨拶の中で呼び方が揺れないようにしてください。
名刺交換・交流を促す一言
懇親会の目的は交流です。ところが「ご歓談ください」だけで始めると、結局いつものメンバーで固まって終わります。挨拶に一言入れるだけで動きが変わります。
入れる場所は、開会の挨拶の末尾か、乾杯の直前です。
本日は、ぜひ普段お会いしない方とお話しください。名札の色が部署ごとに分かれておりますので、違う色の方に声をかけていただけると嬉しいです。
お席は自由です。前半と後半で一度、席を移っていただけるようご案内しますので、その際にぜひ新しい方とお話しください。
名刺交換のお時間も設けております。乾杯のあと、まずはお近くの方とご挨拶いただければと思います。
注意点として、名刺交換を強制する言い方は避けます。「必ず5人と交換してください」のような指示は、社外の方には失礼にあたることがあります。促すのは動線であって、ノルマではありません。
会全体の設計は懇親会の企画に、当日の司会進行はイベント司会の台本テンプレにまとめています。内定者向けの懇親会は参加者の緊張度が違うため、内定者懇親会の進め方を参照してください。
挨拶を依頼するときの文面テンプレ
挨拶は当日いきなり振らず、事前に依頼します。伝えるのは4点です。
- どの場面か(開会/乾杯/中締め/閉会)
- 持ち時間(「1分程度で」と具体的に)
- 順番と、直前に誰が話すか
- マイクの有無と立ち位置
社内の上位者に開会の挨拶を依頼する
○○部長 ○月○日の懇親会につきまして、開会のご挨拶をお願いできればと存じます。 19時開会で、冒頭に1分程度いただけますと幸いです。当日は○○社の○○様ほか、社外の方が5名ご出席の予定です。会の趣旨(部門を越えた交流)に触れていただけますと助かります。 ご都合いかがでしょうか。
来賓に乾杯の発声を依頼する(メール)
○○株式会社 ○○部長 ○○様
いつも大変お世話になっております。株式会社○○の○○でございます。 ○月○日の懇親会につきまして、誠に恐縮ながら、乾杯のご発声を賜れないかとお願い申し上げたくご連絡いたしました。 19時開会、開会の挨拶(弊社○○)に続き、19時5分ごろに30秒ほどご発声いただければと存じます。マイクはこちらでご用意いたします。 ご負担であれば遠慮なくお申し付けください。何卒よろしくお願い申し上げます。
幹事から中堅に中締めを依頼する
○○さん ○月○日の懇親会で、中締めをお願いできませんか。 20時40分ごろ、30秒程度です。「一区切りつけて、帰る方を送り出す」役なので、一本締めの号令までで大丈夫です。文面はこちらで用意します。
依頼は遅くとも1週間前までに。社外の方への依頼は2週間前を目安にします。先方の社内調整が必要になることがあるためです。
会場の手配や見積を並行して進める段階であれば、見積依頼メールの書き方と相見積のマナーに、依頼時に渡すべき条件と比較のしかたをまとめています。
基本マナーと時間の目安
- 1分以内に収める。 料理が出ている場面ではさらに短く。長い挨拶は場の温度を下げます
- 手元の原稿は見てよい。 暗記して詰まるより、読み上げるほうが聞き取りやすくなります
- マイクは口から10cm程度。 遠いと聞こえず、近すぎると割れます
- 立ち位置は入口の反対側。 遅れて入ってくる方の視界を遮りません
- 乾杯の合図は動作で示す。 「グラスをお持ちください」と言ってから間を1拍置くと揃います
挨拶の合計は、2時間の会でも4分程度です。開会1分・乾杯30秒・中締め1分・閉会1分。依頼するときに持ち時間を数字で伝えるのは、この配分を守るためです。
よくある質問(FAQ)
Q. 懇親会の挨拶はどれくらいの長さが適切ですか? A. 開会・中締め・閉会は1分以内、乾杯の発声は30秒程度が目安です。社外の方がいる場合は名乗りと趣旨説明が入るぶん、開会だけ1分をやや超えても構いません。
Q. 来賓に乾杯を頼んでもよいですか? A. 構いませんし、立てる意味でも有効です。ただし必ず事前に許可を取ります。当日その場で指名するのは失礼にあたります。断られた場合に備えて、主催側の次席を代役として用意しておいてください。
Q. 中締めと閉会の挨拶は何が違いますか? A. 中締めは「ここで一度区切るので、お帰りの方はどうぞ」という合図で、会はまだ続きます。閉会は終了宣言です。帰りやすさを作るのが中締めの役割なので、終了の15〜20分前に置きます。
Q. 社外の方の前で、自社の人をどう呼べばよいですか? A. 原則は敬称・役職の後付けを外し、「部長の田中」「弊社の田中」とします。ただし社内文化として役職呼びを残す会社もあり、慣習は分かれます。厳密さより、同じ挨拶の中で呼び方を揺らさないことのほうが大切です。
Q. オンライン併催の懇親会でも乾杯は必要ですか? A. 必要です。画面越しは間が生まれやすいため、合図をより明確にします。「お手元のグラスを画面に向けてお持ちください」と動作を指示し、乾杯後は一度ミュートをお願いすると進行が乱れません。