相見積もりのマナーと進め方|社数の目安・依頼の伝え方・断り方の例文つき
結論:相見積もりは「2〜3社・同条件・結果連絡」が基本マナー
相見積もり(あいみつ:複数社から同時に見積を取ること)は、イベント発注では一般的な進め方です。ただしマナーを外すと協力会社との信頼関係を損ない、良い提案が集まらなくなります。基本は次の5つです。
- 社数は2〜3社が目安。多すぎると1社あたりの提案の本気度が下がり、比較の手間も破綻する
- 相見積もりであることを最初に伝えるのが誠実な依頼
- 全社に同じ条件・同じ資料・同じ期限を渡す(条件が違う見積は比較できない)
- 他社の金額を漏らして値引きの道具にしない
- 選ばなかった会社にも必ず結果を連絡する
社数の目安:2〜3社が基本の理由
| 案件の性質 | 社数の目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 実績のある定例案件 | 2社 | 相場観があり、妥当性の確認が目的 |
| 一般的な新規案件 | 2〜3社 | 提案の幅と比較の手間のバランス |
| 大型・初めての領域 | 3社程度 | 相場観がなく、提案の幅が必要 |
5社・6社と増やしても良いことはほとんどありません。見積の作成は協力会社にとって無償の労働であり、「10社に声をかけている」とわかった時点で、優良な会社ほど辞退するか、簡易な概算しか出さなくなります。真剣に比較検討できる社数に絞ることが、結果的に提案の質を上げます。
依頼時のマナー:伝えるべきことと進め方
依頼時に伝えるべき情報は次のとおりです。
- 相見積もりであることと、およその社数(例:「3社にお願いしています」)
- 選定基準(金額だけでなく提案内容・体制も見る、など)
- 回答期限と結果連絡の予定日
- イベント概要・依頼範囲・数量条件などの基本情報(全社共通)
重要なのは「全社同条件」です。A社には図面を渡してB社には渡さない、C社だけ期限が短い、といった差があると、届いた見積は比較不能になります。1社から質問が来て、その回答で条件が変わる場合は全社に共有します。依頼メールの具体的な書き方は、見積依頼メールの書き方と例文3種に相見積もり用の例文を用意しています。
スケジュールの目安は「回答期限まで1〜2週間、受領後の比較検討に1週間、結果連絡は選定から数日以内」です。イベントの開催日から逆算し、発注確定が遅れると会場や機材の押さえが間に合わなくなるため、相見積もりの期間はあらかじめ全体スケジュールに組み込んでおきましょう。
比較のしかた:金額だけで選ばない
相見積もりで最も避けたいのは、総額の安さだけで選んで当日の品質で後悔することです。比較は次の観点で行います。
- 費目の範囲:同じ範囲を見積もっているか(「別途費用」の多さに注意)
- 数量根拠の透明性:「一式」ばかりの見積は変更時に紛糾しやすい
- 提案内容:課題への理解度、代替案の有無
- 体制:担当者の経験、当日の人員数、トラブル時の対応力
- 金額:上記が同水準のとき、初めて決め手になる
費目を揃えて比較するには、依頼時に無料のイベント見積書テンプレート(Excel・自動計算式入り)を「この構成でお願いします」と指定するのが有効です。費目構造の読み方は見積書テンプレートの選び方と9大費目の構造で解説しています。
断り方のマナーと例文
選ばなかった会社への連絡は、相見積もりのマナーの中で最も差が出るところです。ポイントは「早く・簡潔に・感謝を添えて」。他社の金額や詳細な理由を伝える必要はありません。
件名:お見積の結果について(◯◯イベントの件)
◯◯株式会社
◯◯様
お世話になっております。株式会社◯◯の◯◯です。
先日は◯◯イベントのお見積をご提出いただき、
誠にありがとうございました。
社内で慎重に検討いたしました結果、誠に恐縮ながら、
今回は他社様にお願いすることとなりました。
ご提案いただいた内容は社内でも高く評価しております。
また機会がございましたら、ぜひご相談させてください。
このたびはお時間をいただき、ありがとうございました。
「検討の結果、見送りとなりました」の一文だけよりも、提案への感謝と「また相談したい」の一言があるだけで、次回も快く見積に応じてもらえます。イベント業界は狭く、良い協力会社との関係は資産です。連絡のタイミングは発注先が決まってから数日以内が目安で、遅くとも依頼時に伝えた結果連絡の予定日は必ず守ります。
やってはいけないNG行為チェック
発注側として、次の行為をしていないか確認してください。
- 他社の見積金額を伝えて「これより安くして」と迫っていないか
- 本命が決まっているのに、形式的な当て馬として見積を取らせていないか
- A社の提案アイデアをB社に渡して安く実施させていないか(提案の流用)
- 結果を連絡せず、断る会社を放置していないか
- 会社ごとに条件や渡す情報量を変えて依頼していないか
- 極端に短い期限で精度の高い見積を要求していないか
特に提案アイデアの流用は、信頼を失うだけでなく法的な問題(不正競争や著作権の侵害など)に発展しうる行為です。提案内容はその会社に発注して初めて使えるもの、と考えてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 相見積もりは何社まで取っても失礼になりませんか?
A. 明確なルールはありませんが、2〜3社が実務上の目安です。候補が4社以上ある場合は、まず簡単なヒアリングや概算で2〜3社に絞ってから正式な見積を依頼すると、双方の負担が減ります。
Q. 相見積もりだと伝えたら、断られたり手を抜かれたりしませんか?
A. 通常はありません。法人間の取引で相見積もりは一般的な商慣行であり、伝えたうえで真剣に比較する姿勢はむしろ信頼につながります。隠して進めるほうが、発覚したときの信頼毀損がはるかに大きくなります。
Q. すでに本命の会社が決まっている場合でも、相見積もりを取るべきですか?
A. 社内規定で必須の場合を除き、形だけの相見積もり(当て馬)は避けるべきです。どうしても必要なら、依頼範囲を簡易な概算に留めるなど、相手の作業負担を最小限にする配慮をしましょう。
Q. 断った会社から理由を聞かれたら、どこまで答えるべきですか?
A. 「総合的に判断しました」で十分ですが、可能なら「金額面」「体制面」など大枠だけ伝えると、相手の次回以降の提案改善につながります。他社名や他社の金額は絶対に伝えません。
Q. 最安値の会社に決めない場合、社内をどう説得すればよいですか?
A. 金額×提案内容の比較表を作り、「安い見積に含まれていない費用(別途費用・撤去費など)」と「体制の差」を可視化するのが定石です。見かけの総額と最終的な支払額は別物であることを示しましょう。